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Universal Keymapシリーズ⑤ 分割型40%キーボード(など)のキーマップを比較してみる (レイヤー1,2編)

引き続き各キーボードのデフォルトキーマップを見ていきます。 レイヤー0は前回見ましたので今回はレイヤー1, 2を同時に見ていきます。

目次

キー配置の傾向まとめ

今回はとんでもなく全体が長くなったため、まとめ部分を先頭に持ってきました。 各キーボードごとの詳細はまとめ以降の部分を参照ください。

レイヤー構成

ほとんどがLower - Raise - Adjust 3レイヤー構成です。 以下はその例外です。

  • claw44, bat43: 2レイヤー構成
    • 同じyfukuさん設計。おそらくAdjustレイヤーを不要と判断した省略
  • Ergodox Ezも2レイヤー構成
    • キー数が十分あるため and / or 設計時点で Lower - Raise - Adjust 構成概念がなかったため

矢印キー

  • vimスタイル矢印キーがほとんどを占めており、その他にWASDやそもそもキーボード右下に物理的な矢印キーを割り当てているものがあります
  • 矢印キーはほとんどがレイヤー1か2のどちらかのみに設定されていますが、その傾向はレイヤー1が5つ、レイヤー2が6つとかなり拮抗しています
    • yfukuさんのキーボード2つがレイヤー1なので、ややレイヤー2が有利?

数字キー

  • QWERTY行に数字キーの 1 ~ 0 を割り当てているものがほとんどです
    • 片方のレイヤーに 1 ~ 0 を割り当てたら、もう片方のレイヤーでは ! ~ ) (数字キーに対応する記号)を割り当てているケースもまた多いです
      • 例外はfortitude60, lily58, yfukuさんキーボード(claw44, bat43)のみで前者2つは物理キーがあること、後者はvimスタイル矢印キーとバッティングすることが理由の気がします
      • どちらのレイヤーに 1 ~ 0 を割り当てるかは レイヤー1が5つ、レイヤー2が6つとこれも拮抗しています
        • yfukuさんのキーボード2つがレイヤー1なので、ややレイヤー2が有利?
    • 物理的な数字行が存在するfortitude60やlily58でも同様の配置を行っているため、この配置はかなり普及しているようですね
      • Planckのキー配置も同様の方針のため、このキー配置の祖先はPlanckかもしれません
  • その他にはASDFG行に割り当てているもの(claw44, bat43)、ASDFGZXCVBへ割り当てているもの(ergodox mini)などがあります

ファンクションキー

このキーの配置は様々です。

  • 片手2行スタイル
    • 左手中段下段スタイル (ergodash mini, Caravelle BLE, fortitude60, lily58, Planck)
      • はみ出し2キーは
        • 最下段 (ergodash mini)
        • 左手内側追加キー (Caravelle BLE)
        • 右手側 H N (fortitude60, Planck)
        • 左手外側キー (lily58)
    • 左手上段下段スタイル (claw44)
      • はみ出し2キーは
        • 左手外側キー (claw44)
    • 左手上段中段スタイル (treadstone48)
      • はみ出し2キーは
        • 左手下段キー (treadstone48)
    • 右手中段下段スタイル (reviung41)
      • はみ出し2キーは
        • 右手外側キー (reviung41)
  • 両手1行スタイル
    • 上段(QWERTY行)スタイル (lily58, nomu30)
      • はみ出し2キーは
        • 左手右手外側キー (lily58)
        • 割り当てない (nomu30)
    • 最上段(数字キー行)スタイル (Ergodox Ez)
      • はみ出し2キーは
        • 右手外側キー (Ergodox Ez)
  • 割り当てなし (Corne Cherry, uzu42, bat43)

比率としては左手中段下段を使うスタイルと割り当てないスタイルが多いです。 前者はおそらくPlanck由来で、後者はそもそもファンクションキーを使わない志向なのだと思います。 全体を俯瞰してみると片手の2行へ割り振るスタイルと両手を通じた1行へ割り振るスタイルがあり、前者のほうが多いです。 ただ、後者には 1 ~ 0 の位置と F1 ~ F10 の位置を合わせられるという利点もあります。

また、ファンクションキー自体を配置するレイヤーですが、レイヤー1: 7つ レイヤー2: 3つということでレイヤー1のほうが多いようです。

モディファイヤキー

Ctrl Alt Shift GUI などのキーについてはuzu42, nomu30を除いて追加されていません。 これはモディファイヤキーをレイヤー間で追加すると混乱しやすいこと、レイヤー切り替えキーとモディファイヤキーの間で押す順番によって挙動が変わってしまうことなどが理由だと思われます。 また、既存のモディファイヤキーを別のモディファイヤキーへ変更することもまったくされていません。

Escape Tab BackSpace Delete ` (~) (左上/右上系キー)

レイヤー0へ Escape を配置していないキーマップでは左上を Escape にしたり、小指左の列がないuzu42で Tab を追加したり、 BackSpaceDelete の対称性からレイヤー0で片方にしていたのをレイヤー1,2では他方に入れ替えたりしています。 レイヤー0で比較的行き場を失いやすい ` (~) もどちらかのレイヤーで割り当てられている事が多いです。

Home End PageUp PageDown

これらのキーも使用頻度が高いため、比較的レイヤー1,2に配置されているケースがあります。

  • vimスタイル矢印キーの下に添えるスタイル (Caravelle BLE, uzu42(Home, Endのみ), reviung41)
  • 物理矢印キーに配置するスタイル (ergodash mini, treadstone48)
  • なし (claw44, Corne Cherry, fortitude60, lily58, Ergodox Ez(レイヤー0に存在), bat43, nomu30)

概ね矢印キーとの相関関係があり、 以下の対応をもたせることが多いです(Caravelle BLE, ergodash mini, treadstone48)。 これは矢印の上下と PageUp PageDown の間に直感的な相似性があるためでしょう。 またかなり昔からナビゲーションキーを置く空間が無いノートPCが Fn キーと同時に矢印キーを押したときの挙動を以下にしていたため、それに影響を受けた / 合わせていると捉えられるかもしれません。

矢印キー ナビゲーションキー
Home
PageDown
PageUp
End

右手小指外側記号キー + ` (~)

最もバラバラなのがこの記号キーの割当です。

  • 9 ( 0 ) の下に { } [ ] を置くスタイル (Caravelle BLE, uzu42, fortitude60, lily58)
    • 亜種: 左手側で { } ( ) [ ] を左右ペアに上下へ並べるスタイル (Ergodox Ez)
  • 右手中段下段ペアスタイル
    • 並びに規則性なし? (Caravelle BLE)
    • 並びは左上のキーから順番 (Corne Cherry)
  • 中段下段シングルスタイル (並びは左上のキーから順番)
    • 右手
      • 例外なし (lily58)
      • \ (|) が重複していたり # (~) という特殊キーがあったり (fortitude60)
    • 左手
      • 例外なし (reviung41)
    • 両手
      • [ ] /\ のみ左右ペアで左手へ配置 (nomu30)
  • 左右手 線対称スタイル ( [ ] { } ) (claw44, bat43)
  • 右手小指外側記号キー全4行を3行に押し込んで再現スタイル (treadstone48)
  • 一部規則性なし? (claw44, uzu42, Ergodox, bat43)
  • 割り当てなし (ergodash mini (レイヤー0ですべての記号キーがまかなえている))

しかし、一部規則性が見えないものを除けばすべてのキーマップは次の2点を考慮していることがわかります。

  1. 対応する記号キー([ ] ( ) { } < > / \)を考慮
  2. 101キーボードの左上に近いキーほど、キーマップでも左側に配置

各キーボードのキーマップ分析詳細

ergodash/mini - QMK Configurator

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003232946p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052419p:plain:w520

キー位置 割り当て
H J K L vimスタイル矢印キー
ASDFGZXCVB 1 ~ 0
QWERTY ! ~ )
右手下段矢印キー Home PageDown PageUp End
左上 Escape `(~)
それ以外 Layer 0 と同じ または
Shiftを押しながら押したときに出る記号

vimスタイル矢印キーは多くのデフォルトキーマップで採用されている定番です。 1 ~ 0 を左手中段下段、上段を数字行の記号で割り当てるのも定番ですね。 右手下段の矢印キーはなんとなくvimスタイル矢印キーとの相似性を感じます。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052428p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY 数字キーに対応する記号 (レイヤー1と同じ)
ASDFGZXCVB F1 ~ F10
最下段 F11 F12
それ以外 Layer 1

レイヤー1と異なるのはレイヤー1では数字キーを割り当てていた箇所にファンクションキーを割り当てている点です。 左手中段下段へのファンクションキー割り当てはPlanckがおそらく発祥で多数のキーボードで真似をされています。

Caravelle BLE

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003232958p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1 (Lower)

f:id:den8:20201003232958p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY ! ~ )
ASDFGZXCVB + 左手内側 F1 ~ F12
左上 Tab Escape
右手内側 ` ~ (数字行最左キー)
H N \ | (QWERTY列最右キー)
J M - _ (P 右上のキー)
K , = + ( BackSpace 左のキー)
L . [ { (P 右のキー)
: / ] } (P 2つ右のキー)

QWERTY行とA ~ B への割り当ては比較的見る形として、いくつか特徴的な点があります。 まず左上のキーへ Escape を割り当てています。これは101キーでの Escape の位置を考えれば直感的な配置と言えます。 右手小指外側の記号キーの割り当ては HNJMK,L.;/ のキーを使っています。 101での記号キーの位置とこちらのマッピングの間で特に規則性が見られないこと、101キーで普通にその記号キーを押したときの記号が HJKL; 行で Shift を押しながら押したときの記号が NM,./ 行となっており Shift を使わないことなどが変わっていますね。

レイヤー2 (Raise)

f:id:den8:20201003232958p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY 1 ~ 0
H J K L vimスタイル矢印キー
N M , . Home PageDown PageUp End

こちらの N M , .vimスタイル矢印キーと似た相対関係になっています。

claw44

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise 2レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233006p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052437p:plain:w520

キー位置 割り当て
ASDFG HJKL; 1 ~ 0
左上 QWERT 左下 ZXCVB F1 ~ F12

こちらはホームポジション行を 1 ~ 0 に割り当てて左手へ F1 ~ F12 を集めています。 数字キーは使用頻度が高いため、押しやすいホームポジション行にした意図が見えます。 その他記号キーはレイヤー2に合わせているようですので分析は後述。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052441p:plain:w520

キー位置 割り当て
H J K L vimスタイル矢印キー
最左中段キー (
最右中段キー )
B [ ({)
N ] (})
V {
M }
Q \ (|)
QWERT YUIOP ASDFG ; 記号割り当て(法則性見えず)

定番のvimスタイルキーが見えます。 また() {} [] などの対応する記号キーを線対称な配置にしているようです。 解釈が難しいのがその他に割り当てられた記号キーで、ANSIともJISとも似ていない配置・相対関係で割り当てられています。 なんらかの法則性があるのかもしれないのですが現時点では読み解けませんでした。

Corne Cherry

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233014p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052444p:plain:w520

キー位置 割り当て
左上 Escape
QWERTY 1 ~ 0
H J K L vimスタイル矢印キー

レイヤー0になかった Escape キーを左上に設定している以外はとても標準的なマッピングです。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052450p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY ! ~ )
H N - (_) _
J M = (+) +
K , { [ ({)
L . } ] (})
; / | \ (|)
最右列中段 最右列下段 ` (~) ~

QWERTY行に数字行の記号を割り当てるのは定番として、目につくのがCaravelle BLEと同様に右手で2段に渡って上下に対応する記号キーを割り当てている点です。 ちなみにこの5キー (- (_) = (+) [ ({) ] (}) \ (|))は101キーボードでの上かつ左から存在する順番で割り当てられており比較的直感的に扱えそうです。

uzu42

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233019p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052458p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY 1 ~ 0
H J K L vimスタイル矢印キー
A Tab
B N Delete BackSpace
, . Home End
X Space
ZCVB メタキー

数字キー割り当て、vimスタイル矢印キーは定番。 ATab を割り当てているのは最左列がないuzu42ならではでしょう。 Delete BackSpaceHome End の関係には対称性を見出だせます。 解釈が難しいのが ZXCVB に割り当てられたメタキー系で、最下段の割り当てともまったく似ていません。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052502p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY ! ~ )
A Tab
Z Ctrl
S X _ - (_)
D C + = (+)
F V | \ (|)
G B ~ ~ (`)
H N : : (;)
J M " ' (")
K , > <
L . { [ ({)
; / } ] (})

QWERTY行は定番、 AZ はレイヤー1と同じです。 レイヤー2の特徴はホームポジション行とその下の行で記号を網羅している点で、<> の列以外はすべて ホームポジション行が Shift を押しつつ記号キーを押したときの記号、 ホームポジションより1行下が普通にその記号キーを押したときの記号になっています。 順序性については一番右端に { } を持ってきて最上段の ( ) と一貫させていること、 それ以外については基本的に左上の記号キーから順に配置していることが見て取れます。 ただ規則性を逸脱する > <~ ` (~) などがあることからあまり強いこだわりではないようです。

fortitude60

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233024p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052512p:plain:w520

キー位置 割り当て
数字行 ! ~ )
QWERTY ! ~ )
BackSpace Delete
ASDFGH ZXCVBN F1 ~ F12
右手記号系 レイヤー2と一貫しているためそちらで説明

物理的に数字行のキーがあるため数字行キーの再割当ては基本的に必要ないfortitude60ですが、 利便性のためかレイヤー1ではQWERTY行と数字行を記号キーにしています。このキーの配置は101キーの数字行記号キーと一緒で自然な配置でしょう。 そしてやはりレイヤー1の左手中段 ~ 下段にファンクションが固められています。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052516p:plain:w520

キー位置 割り当て
数字行 1 ~ 0
QWERTY 1 ~ 0 ( W のみ例外)
W A S D
J - (_)
K = (+)
L [ ({)
; ] (})
' \ (|)
M # (~)
, \ (|)

QWERTY行と数字行はレイヤー1と対象的に数字キーを割り当てています。 また特徴的なのが矢印キーを WASD に割り当てていることです。これはFPSなどのゲームで多用される配置ですね。

右手中段 ~ 下段に記号キーを割り当てるのも定番です。 こちらの順序はやはり左上から順番に割り当てていますが、 # (~) という見慣れないキー (ANSIにもJISにもなくISOのみにあるキー) に思い当たるものがあり Planck のキーマップを調べたところファンクションキーや記号周辺の配置がそっくりでした。 また、レイヤー1の同じ位置のキーはこれら記号キーを Shift と一緒に押したときの記号になっています。

f:id:den8:20201010175837p:plain:w520

どうやらfortitude60のキー配置は強くPlanckまたはその関係キーボードへ影響を受けているようです。

lily58

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233029p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052524p:plain:w520

キー位置 割り当て
Tab QWERT YUIOP- F1 ~ 12
ホームポジション 数字行の記号
右手最下段 レイヤー2で説明

QWERTY行で F1 ~ 12 を網羅しています。ホームポジション行で数字行の記号をサポートしているのは Shift を押しながら数字行を押すことが比較的大変なための再配置でしょうか。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052528p:plain:w520

キー位置 割り当て
Tab QWERT YUIOP- 数字行そのまま
左手中段 ~ 左手下段 F1 ~ 12
J K L ; vimスタイル?矢印キー
右手下段 記号キー

レイヤー1に続きレイヤー2にもファンクションキーを配置しています。これはPlanckスタイルの位置ですね。 少々変わっているのが矢印キーの配置で、vimスタイルと思いきや HJKL ではなく JKL; になっています。初めて見ました。 また右手下段の記号配置はfortitude60と完全に一緒です。これもまた共通の祖先があるのでしょうか?それともどちらかがどちらかに影響を受けているのでしょうか?現時点ではなんとも言えません。

Ergodox Ez

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - 2レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201005010026p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052533p:plain:w520

キー位置 割り当て
数字行および右上 F1 ~ F12
右手最下段 ~ 上段 101キーボードのNumPad相当
親指周辺 キーボードのライト操作
E R { }
D F ( )
C V [ ({) ] (})
左手小指列・薬指列・人差し指の右列 記号

Ergodox Ezはこちらも独自路線です。 数字キーにファンクションキー、しかも 1F1 を割り当てるなどする工夫はとても良いと思います。 右手でNumPad相当を再現している点は他でめったに見ないです。実際のところ自作キーボードの主たるユーザーであるエンジニアがNumPadを使うことはそれほど多くないため真似されていないのだと推測されます。 右手周辺の記号キーはカッコを対応させようとする意図を感じますがそれ以外はいささか乱雑に配置されており覚えにくそうです。 また、親指周辺にキーボードのライトコントロールを置いているのも珍しく、Adjustレイヤーの概念が普及する前ならではだと言えます。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052537p:plain:w520

キー位置 割り当て
E S D F マウスコントロール
最下段 マウス右クリック / 左クリック
右手 メディアコントロール

レイヤー2もとても特徴的です。左手にマウスコントロールを配置する一方、右手は音楽再生などに関わるメディアコントロールボタンを配置しています。 あまり配置されることは多くないキー類ですが、キーマップでできることをデフォルトキーマップでデモンストレーションしていると考えれば意義がある気がします。

treadstone48

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233033p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052543p:plain:w520

キー位置 割り当て
左手上段中段下段 F1 ~ F12
BackSpace Delete
PageUp PageDown Home End
右手上段中段下段 記号キー

まず左手に定番のファンクションキーを配置しつつ右手に記号キーを配置しています。 そして右手側で記号キーを配置していますが、` (~) キーを除いて左上から順番に配置しており相対的なキーの位置も似ているため101キーボードになれた人にとってはかなり慣れやすいでしょう。 矢印キーには PageUp PageDown などのキーを配置し、 Delete キーは BackSpace キーに配置しています。個人的には DeleteBackSpace は同時にレイヤー0で使えると嬉しいのですがこの配置も論理的でありだと思います。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052547p:plain:w520

キー位置 割り当て
QWERTY 1 ~ 0
M , . J K L U I O 右下 1 ~ 0

こちらは数字キーをQWERTY行に配置しつつ、右手側に0 ~ 6を配置してNumPadのような配置も実現しています。 その他いくらかの記号キーも配置されていますが法則性はあまりなさそうです。

bat43

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - 2レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233039p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052556p:plain:w520

キー位置 割り当て
中段 1 ~ 0
レイヤー2キー Delete
右手上段 記号キー(レイヤー2で説明)

同じ作者さんのclaw44と同じくこちらもホームポジション行へ 1 ~ 0 を配置しています。 その他特徴的なのはレイヤー2キーに Delete を割り当てていることで、これはレイヤー2では逆にレイヤー1キーへ BackSpace を割り当てていることと対称になっています。両方とも親指のホームポジションにあり押しやすいため、使用頻度が高めの BackSpace Delete でもこの配置にしたのだと思います。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052601p:plain:w520

キー位置 割り当て
H J K L vimスタイル矢印キー
レイヤー1キー BackSpace
C V B N M , { [ ( ) ] }

下段中央付近に { [ ( ) ] } などのキーを線対称に配置しています。 vimスタイル矢印キーは定番です。 その他記号が全体的に配置されているのですがこちらは法則性を見出すことができませんでした。

reviung41

レイヤー切り替え方式
  • Lower - Raise - Adjust 3レイヤー構成
レイヤー0

f:id:den8:20201003233044p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052606p:plain:w520

キー位置 割り当て
上段 ! ~ )
H J K L vimスタイル矢印キー
BackSpace Delete
Space Enter
中段 記号キー(レイヤー2で説明)
下段 Escape Caps Lock Home End PageUp PageDown PrintScreen Shift(Space)

最上段の記号キー、中段の矢印キー、BackSpaceDelete キーになるなどはオーソドックスです。 Enter キーがレイヤー0にないため Space キーをこのレイヤー1で Enter キーにしているのは少し変わっていますね。Enter キーの使用頻度を考えるとレイヤー0に配置したい気もします。 変わっているのが下段で、ここに CapsLock などあまり見ないキーも含めて並んでいます。ただ並びの途中に " などが出てくるのを見るに それほど順序にこだわりがあるわけではないようです。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052610p:plain:w520

キー位置 割り当て
上段 1 ~ 0
BackSpace Delete
右手中段下段 F1 ~ F12
Space BackSpace

比較的左手に固めることが多いファンクションキーをここでは右手側に固めています。 その他上段の数字キーもまた定番ですね。 記号系のキーは右上から順番になっています。 あとは Enter と同じく BackSpaceSpace の位置に配置されていますがレイヤー0でも右上に配置されているためこちらはあまり使わないような気はします。

nomu30

このキーボードはレイヤー3にもファンクションキーなどを割り当てているためそれも一緒に見ます

レイヤー切り替え方式
  • 3レイヤー構成 (非Lower - Raise - Adjust)
レイヤー0

f:id:den8:20201003233048p:plain:w520

こちらは前回の記事で先に分析したのでスキップ

レイヤー1

f:id:den8:20201007052619p:plain:w520

キー位置 割り当て
上段 1 ~ 0 および ` (~)
中段下段 記号キー

最上段はセオリー通り数字行をそのまま割り当てています。 ` (~) が右下ですがこれも同じ段なので直感的でしょう。 圧巻なのが中段下段の記号キーです。 一見すると \ (?)/ (|) の位置で一貫性を失っているように見えますが、これは実は /\ の間の対称性を考えて配置してあります。 これにより () {} [] <> /\ すべての対応する記号が隣り合っています。 一方で - (_) = (+) ; (:) ' (") , (<) . (>) といったキーも101キーボード上での相対的なキー位置を失っておらず、スムーズに使用することができます。

レイヤー2

f:id:den8:20201007052623p:plain:w520

キー位置 割り当て
上段 ! ~ )
中段 レイヤー1の Shift キーを押したときの記号
下段左手 < >

上段中段は特に驚く点はありません。 下段左手で < > を割り当てているのは少し奇妙で、これは下段右手側と配置が間違っている可能性が高いと思われます。

レイヤー3

f:id:den8:20201007052627p:plain:w520

キー位置 割り当て
上段 F1 ~ F10
Q Escape
A Tab
H J K L vimスタイル矢印キー
Z Alt
X GUI
A S D Vol + Vol - Mute

ファンクションキーがこのレイヤーに配置されていますが F11 F12 がありません。中段の余っているキーに配置しても良い気がするのですが あえて配置していないのは設計者の美学によるところかもしれません。 Q の位置に Escape が来ているのは相対位置的には正しい一方、レイヤー1,2で右上に ` (~) を配置したことと一貫していない気はします。 Escape も右上にするか、もしくは ` (~) も左上に配置したら良い気がします。 中段小指に Tab を配置していることを考慮すれば左上のほうが有力かもしれません。 その他vimスタイル矢印キーは鉄板、Z X などはレイヤー0での長押しのときの挙動でありこれも一貫しています。 一番賛否が分かれそうなのが左手中央に音量コントロールのキーが配置されている点ですが、ここは好みによって他のキーに変えても良いでしょう。

NEXT ACTION

これでレイヤー0,1,2については比較が終わったので、次はレイヤー3(Adjust)を見ていきます。