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マンションの換気ダクトと塗装ブースのホースを直結できる部品を3Dプリンタで作った

省エネ記事。

最初のアイデアAmazon | 排気ホース・集合ダクト【補強 タミヤ塗装ブース・ツインファンの2本のホースを連結して1本に (タミヤホース) | ペインティングスタンド・ブース 通販から。

しかし、そのためにはCADでモデルを作らないといけない。 Fusion 360を使うかFreeCADを使うか、つまりwindowsをやむなく使うかlinuxでも使えるソフトウェアを使うか3日悩んで、ユーザビリティに劣るとしても長期的には価値が高いと判断したFreeCADを使うことにした。 ちなみにこの判断はあとで大正解だったと感じた。確かにわかりやすくはなかったがyoutubeなどに解説動画も多くあり、やりたいことができないことはなかった。これでwindowsの呪縛から逃れられるなら多少の不便は許容できる。

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FreeCADで最初に作ったモデルの印刷。これが一発でとてもきれいに出たのでFreeCADいけるやんと自信になった

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次に換気ダクトのフック部分に引っ掛ける構造のテスト印刷。これのFreeCADでのモデル制作は大変だった。が、ここを頑張って超えたのでその後もFreeCADを続けられた。やはり3Dプリントでの成功体験が強烈なのでモチベーションが保ちやすいのは3Dプリンタの良い点

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先に印刷したやつをフックへ引っかけようとすると肩甲骨の間のところが邪魔でちゃんと引っかからなかったのでその部分を除去したモデル。これならピッタリ引っかかった。ちなみにフックのサイズはちゃんと採寸して、多少の余裕を加えてサイズを設計してある。

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1つ目と2つ目の試作の比較。左右の出っ張りの間の部分があるかないかが違う。この辺、細かく試作しながら試せるのも3Dプリンタの良い点。しかもPDCAが早い、これぐらいのパーツなら1時間以内にできる。

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ダクト径を量って一度試しに作ってみたモデルがこれ。十字の支えの一箇所がちゃんと外径へ接していない問題など発覚。また、このような単なる円柱状だとダクトホースへうまく接続できないことがわかった。さらに、設置場所の机の高さからダクトホースは斜め上方向から接続する必要があるため、この部品の間で角度を変える必要があることもわかった。こういったことも実際に試してみないとわからないのでやはりPDCAは大事。

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3Dプリンタの新しいファームウェアが公開されておりoctoprintとの相性問題が解決したらしいのでSDカードからとoctopiからで印刷結果を比較。結論、問題は解決したっぽい。また印刷時間も従来octopi経由だと長くかかっていたのが差がなくなった、気がする。今後はoctopiを常用することに。

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ダクトホースとうまく接続するため、ライフリングのようなものを刻むことに。これもまた3Dプリンタで作るの大変だった。最終的に円柱からねじを減算してモデルを作った。これはその初作だが、回転の方向が逆なのとサポートが邪魔すぎる問題点が見つかった。

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1回目の反省を生かしてネジの回転方向を逆にし、同時にサポートをなくした。サポート無しでちゃんと印刷できるか少し不安だったが問題なかった。この辺りはサポートがないとほとんどまともに印刷できないSLAタイプとは大きく異るところ。

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このあと、とても苦労してモデルができた(2つの向きの違う円柱をスムーズにつなぐのに数日かけた)。モデルができたので本印刷前に実物の数分の1のサイズで印刷したのがこれ。しつこいが、こういった試作がスケールの係数一つ変えるだけで印刷できるのは本当にすごい。この印刷結果を手に取りながらいろいろ見た結果、問題なさそうだったので本印刷へ入ることにした。

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本印刷1回目。残念ながら全体の40%ぐらいのところで印刷が途切れていた。状況を観察するとフィラメントがヘッドからすっぽ抜けていた。そうなった原因は不明。

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本印刷2回目。モデルが原因かはまだわからなかったのでモデルを変えずフィラメントをちょっと高いやつに。結果、こちらも印刷途中で途切れてしまっていた。こちらもフィラメントがすっぽ抜けていた。ここでモデルのGコードに異常がある可能性(unloadのコードがバグで混入してしまった?)を疑ったが、1回目と2回目の印刷結果を比較するとその高さ = 印刷失敗タイミングが違うことに気がついた。ということはGコードではない。モデルデータ内のGコードが原因なら必ず同じ場所で問題が発生するはずだからだ。よってモデルが原因ではないと判断した。次に疑ったのはZ軸の移動で、このモデルのような背の高いものを印刷するのが久しぶりでかつZ軸移動で激しく泣きが発生していたため、自転車のグリスを塗ってZ軸の移動をスムーズにした。もう一つ原因として考えられたのが3Dプリンタの振動で、今プリンタを廊下の棚へ設置しているため部屋への出入りのタイミングで結構振動が伝わってしまっていた可能性があった。そのため、印刷中は気を使ってなるべく振動を伝えないように廊下を移動するようにした。

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本印刷3回目。今度こそ成功。2回目までの失敗要因がZ軸だったのか振動だったのかは不明だが、たぶんZ軸のような気はした。

というわけで早速試しに設置してみたのだがとてもよかった。 かかった費用はフィラメント1KG未満で前半は安物を使っていたのでおそらく2,000円もかかっていない。 今回はできたものにも大満足だが、なによりFreeCADで工業デザインのためのCADを学べたのが本当に良かった。僕はもともとロボットコンテストで興味を持って高専に入ったのだけど結局学科は当時急速に伸びていた情報工学科を選んだ。そんなわけで昔から機械科の友達がCADを使っているのを少し羨ましいと思っていた。だから昔からの念願が一つかなった感じ。