第4章
サーバページ手法は「アルバム #1234 の詳細を示せ」など、レスポンスの処理が少ない場合に有効である。
PHPやASPなどの仕組みについて。たしかに静的HTMLが多いサービスではPHPによる最低限のスクリプティングは有効だが、 現代ではそのようなサイト・サービスはほぼ新設されないだろう・・・。
コントローラは、多くの異なるコンテキストで使用される。
せやなあ。お互いの指しているコントローラの定義が違うことでよく混乱が生じた。
テンプレートビューを使用すると、(中略)結果として、サーバページ技術を使用するのであれば、多くの場合ヘルパーオブジェクトを使用して、ページ構造から切り離してプログラミングロジックを保持することを守らなければいけない。
せやなあ。そしてそれはどう考えても良い手じゃない。
テンプレートビュー、トランスフォームビューについて
現代ではAPI + リッチクライアント(SPA)が主流?トランスフォームビューのたとえで使われているXSLTって今まで一度も聞いたことなかった。
A single-stage view mostly has one view component for each screen in the application.
ほとんどの場合、シングルステージビューには、アプリケーションの画面ごとに1つのビューコンポーネントがある。
この訳はいくらなんでもおかしくね?
シングルステージビューはほとんどの場合アプリケーションのそれぞれのスクリーンごとに1つのビューコンポーネントを持つ。
"には" "がある" の翻訳が致命的にニュアンスを失わせている。 この辺でもう英語版読もうかという気になった。 この翻訳、こちらでいう腐った翻訳に該当する気がするなあ。
Page Controllersはクラシックな1エントリポイント1ビューな感じ。 その下のFront Controllerはエントリポイントが1箇所に集約されている、golangのweb serverみたいな感じ。
第5章
並行性のテストは難しい。
確かに。スレッド/プロセスを制御しつつテストすることは難しい。 進行状況を任意の状態に制御しつつだとなおさら。 さらにそれが容易に可能だったとしても今度は並行状態のパターン列挙は非常に難しい。 おそらく入力値の境界値分けによるテストケース生成と同じようなパターンになるだろうが、引数が増えれば値の組み合わせが増えるように並行実行の場合実行されるスレッドが増えるにつれテストケースもn乗で増えていくのである。
システム受け入れテストで最低限の動作保証を行うのが第一歩だろうが、この手の並行性の問題はカオスエンジニアリングを用いて本番でテストをしてすら検出することは難しい。 並行性の問題は現実的には起こらない理論上の問題ではなく、特定の状態、特定のタイミングでつまり確率的に必ず一定確率で起こるという質の悪い問題だから、無視することも難しい。
おそらくは並行処理を最低限に留める戦略が良いのではないかと思う。 複数・大量のデータをマルチスレッド・プロセスで並行実行するOpenMPのようなイメージの並行処理、これは良い。 なぜかというと以下の理由からマルチスレッド化したことによる複雑性の上昇が最低限であるためである。
- 処理対象と結果のデータが各スレッドで縦割りされており、スレッド間での書き換え可能なデータ共有(共有メモリモデル的な)が発生しづらい(共有メモリモデルによる並行処理の問題点はコップ本など参照)
- 各スレッドの処理が一様であり複雑性が低い
無論このタイプの並行処理を行う場合でもまずはパフォーマンス分析を行うことが最優先である。 80:20の法則を理解してネック部分だけをデータを基準とした平行化するのは十分に利益あるんじゃないかな。
ノードベースの並行性はできるならノード間結合テスト(全体テスト)で検出したいところ。
One of the great ironies of enterprise application development is that few branches of software development use concurrency more yet worry about it less.
皮肉なことに、エンタープライズアプリケーション開発において、並行性を使用することがなく、そのことを問題にしていないソフトウェア開発部門もある。
また誤訳
皮肉なことに、エンタープライズアプリケーション開発において、並行性を使用しているが、そのことをあまり問題にしていないソフトウェア開発部門もある。
こんな翻訳でよく他の人は読めてるな。本当に正常に中身を理解できているんだろうか?
あとこの指摘は非常によく分かる。PHP系のWebアプリケーションを開発している人間が並行性についてかなり無頓着なのはこの背景があると思う。
As long as you do all your data manipulation within a transaction, nothing really bad will happen to you.
ここまで読んでやっと気づいたけど、こう書いてあるってことはここまでの話に出てきた並行性って主にデータソースが絡んだ外部永続化データの操作に関してで、共有メモリモデルのことはまったく念頭に置かれていない?
その後やっとマルチスレッドの話が出てきた。これまでの並行性の話はapacheがリクエストの度にspawnするスレッドのイメージだったようだ。
After all, if you aren’t familiar with source code control systems, you really shouldn’t be developing enterprise applications.
最後に、もしあなたがソースコード管理システムに慣れていないようであれば、あなたは本当にエンタープライズアプリケーション開発をするべきでない。
辛辣w けどそのとおりだよなあ。
しばしば一貫性のない読み込み問題は見過ごされがちである、なぜならほとんどの人々は更新喪失問題が並行処理の最も重要な問題だと捉えがちだからである。
せやな。
Temporal reads
こんなところで過去に技術的に衝突した問題の解決策を見るとは・・・。
デッドロックの解説、とくにその回避策の列挙と説明・例がめちゃくちゃわかりやすい。
Consistency: A system’s resources must be in a consistent, noncorrupt state at both the start and the completion of a transaction.
一貫性(COnsistency):トランザクションの開始時点から終了時点まで、システムのリソースは必ず一貫した正常な状態で無くてはならない。
おしい。開始から終了までではなく開始と終了時点のみでいい。間ずっとだとしたらbetweenを使う。
Across multiple transactions the application’s responsibility is to ensure that one session doesn’t step all over another session’s changes, leaving the record set in the invalid state of having lost a user’s work.
複数のトランザクション間での(一貫性をサポートする)アプリケーションの責任は、レコードセットをユーザーの作業を失った無効な状態にしておくことで、あるセッションが別のセッションの変更を一歩も踏み出していないことを保証することです。
ちょっとよくわからん。作業中の状態をデータベースへ一切書き出さないってこと?
そのあとビジネストランザクションはセッションと1対1で紐付けるほうがよいって書いてあるけどそのとおりだとは思う。 ただ、近年の高度に自由度の高いアプリケーションではセッションが使われない・使えない・使いにくい状況も多く、このプラクティスに十分な現実性があるかはちょっとわからない。
5章読了。長い上に概念的にも難しい単語が多くなかなかきつかった。 これでこの分野の上辺だけっていうのだから並列実行はなるべく簡単な部分のみ触っていきたい。
第6章
開幕でStatefulをステートレスと誤訳していてうんざり
この6章は旅行中読んでいたのでメモはほぼない。
第7章
この章も翻訳ミスが多い。価値を表すValueを値と翻訳していたり、有名なData Transfer Object → データ変換オブジェクト の翻訳ミスなど。
XML - httpインターフェイスについてはこの時代での意見でしかなく、今ならRESTful API、更にはgraph-QLが主軸になるだろう。
第8章
ユニットオブワーク、先に11章を見て概要を把握したけどアプリケーション内でDBのサブコピーを作ってビジネストランザクションレベルでの変更を一旦プールし、ビジネストランザクションの終了時 = コミット時に本当のDBへ反映するようないわば階段の踊り場的仕組みを指しているらしい。 多数のサーバが並列でスケールするような今、そういった仕組みは1サーバで完結せず良くない気がするね。
ここでJavaと.NET環境にこだわるのは、これらが将来にかけてエンタープライズアプリケーション開発の共通プラットフォームになる可能性が高いからである(ただし、個人的にはPythonやRubyなどの動的に型付けされるスクリプティング言語を検討したいし、競争も必要だと思う)。
書かれた時代を考えるとなかなかの慧眼。
ストアドプロシージャについて
せやねぇ、たしかにこれを使えば大小の問題はあるものの基本的にパフォーマンスは上がる。 けどポータビリティや冗長化・エラー処理・スケーリングに問題が多いから他の選択肢が有効でない部分だけ特効で最適化するために使うって方針がたしかに無難。
Webサービスについての考察は時代背景的に古いモノではあるものの、確かにマイクロサービス的なものも視野に入っているのはやはりさすが。